和泉屋勘兵衛 建築デザイン室
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庭まで愛して

住まいの“質”は、間取りの合理性や機能性で決まるものではなく、逆にそれ以外のどんな要素を封入できるかが、我々作り手に問われているのだと思います。

ひとが落ち着くときの条件として、「安定した目線の行く先がある」ことをひとつの指針として、空間を考えていきます。アプローチに、玄関に、リビングに、寝室に、どのような目線の行き先を仕掛けていくのか―。

その時に重要になるのが外との関係。 借景を含め、リビングに面したメインの庭から、僅かな抜けに垣間見る小さな世界まで、内外の区別なく、頭の中で行ったり来たりしながら、空間を煮詰めていきます。行為としては“家を設計する”というよりは“敷地を設計する”といったほうがいいのかもしれない。

だから、予算がないから外構・造園なしで引き渡すということは、途中で作業を終えてしまうことであり、考えられません。むしろ、より積極的に、庭の施工には、作業着を着て参加し、ブレーンである株式会社松匠岩崎氏とともに、汗をながし庭を仕上げていきます。設計者が誰よりも、そのあり方については熟考してきた訳ですから、人任せにする訳にはいきません。

1/50のスタディモデルが完成した時、想いが形として結ばれた“達成感”みたいなものを感じるのですが、庭が出来上がり建物とシンクロした時の喜びもそれと同じものがあり、きっと手を出さずにはいられないのでしょう。

たとえば建ぺい率が40%ということは、敷地の6割には家を建ててはいけないということ。土地が高い日本では、この残された空地をどう有効利用するのかは重要な問題でもあるのです。